「妻のトリセツ」(黒川伊保子)メモ

 "妻の怒り"には、「いつもイライラしている」「口調がキツイ」「急に怒り出す」などがある。
"妻の怒り"は、「今、目の前で起きたこと」だけではない。過去の関連記憶の総決算として起こる。
女性は、感情に伴う記憶を長期にわたって保存し、心が動くと当時の感情とともに記憶が引き出される。
したがって、夫にとって「たったこれだけのこと」のように思えても、"妻の怒り"には10年20年分の記憶が感情とともに一気に引き出されている。
 ※これは、女性脳が子育てのために備えている標準装備。目の前で起きた問題(子供の熱)などに対し、人生の記憶を総動員して瞬時に答えを出す機能。

このような理不尽な"妻の怒り"は、きずなを求める気持ちの強さ。
"怒り"は期待の裏返しであり、家庭一筋の妻ほどこれが強い。

それゆえ、男にとって結婚の継続とは、女性の母性ゆえの攻撃から、いかに身を守るかの戦略に尽きる。
家庭が「のんびりくつろぐ場所」だと思うのは大間違い。それは子供時代の「家庭」であるときだけである。

本書は、理不尽な"妻の怒り"を10発から5発に減らす方法論の説明書である。
0発は目指さない。
その理由として、脳科学的にいい夫とは、時に妻の雷に打たれてくれる夫。
女性はただ生きているだけでストレスをためている。常に感情と結び付けているから。
だから、このたまったストレスの放電先を探している。
いい夫とは、「おおむね優しくて頼りがいがあるが、時に下手をして妻を逆上させる男」である。
そう、女はかなり理不尽なのだ。
しかし、その女性脳のストレスは「家族のための気づき」を休みなく行っている結果、たまったものである。
夫が放電の手伝いをするのも、ある意味理にかなっている。
夫が
 ・可能な限り家事を手伝い
 ・日常的に会話し、親身に話を聞いてやる
をしていれば、放電は少ない。
理不尽な"妻の怒り"は、最も期待し、最も求めている相手に発生する。
だから、理不尽な"妻の怒り"もまた、愛なのである。


以下、理不尽な"妻の怒り"を10発から5発に減らす方法論。
・周産期・授乳期には、「何をしても怒るのだ」と踏まえる。いちいち傷つく必要がない。
周産期・授乳期の妻は満身創痍。
ホルモンバランスだけでなく、授乳により鉄分不足になり、常に貧血状態。
そのため、周産期・授乳期は、夫の言動・存在そのものが、乱暴でがさつに見えてします。
そういうものだから、いちいち気にしない。

・女性の会話については、アドバイスではなく共感を提供する。また、普段の会話で「妻が共感できる小話」を提供する。
女性脳は、他人の体験談を自分の知恵に変える
 男性脳にとって、会話の主たる目的 : 問題解決
 女性脳にとって、会話の主たる目的 : 共感
女性は共感することで、他人の体験を自分が体験したかのような気持ちになり、自分の知恵にすることができる。
女性は共感が得られることで、ストレスを軽減させることができる。
また、夫の仕事に関する会話を提供された場合も、「夫の人生に参加している」感が得られて、結婚満足度が上がる。
だから、仕事上のささいな話も、妻と共有すべし。
妻との会話は「共感のフリ」でよい。「共感のフリ」は男性脳にとってストレスだが、"怒りの蓄積"になるよりはよっぽどマシ。
相談を受けたら、心を肯定すれば、事実は肯定しても否定してもよい。


・家庭内で妻を大切にする。
息子が妻に暴言を吐いたときは、
「俺の大切な妻にそんな暴言は許さん!」
として毅然とした態度をとる。
そうすることで、妻は「大切にされている」と感じる。


・「名もなき家事」について労をねぎらう。
「夏の暑い日は台所大変だよね、代ろうか?」
ティッシュがいつも切らさずあるってすごいよね。ありがとう」
とか。


・「言ってくれればやったのに」はNG。本心でなくても、「気づかなくてごめん」と謝る。
女性脳は、言わなくても察してほしい。
他にも、妻が絶望する夫のセリフ。
「だったらやらなくていい」ただ労をねぎらってほしいだけなのである。
「つまりこうゆうことだろ?」要約は求めてない。共感してほしい。
「おかず、これだけ?」
「今日何してたの?」さぼっていると思われて悲しい。
「いいなぁ、一日中〇〇(子供の名前)と一緒にいて」それが何よりつらいと感じる妻もいる。


・楽しみには予告と反復を。
記念日の食事があるときは、予告し、それを何度も繰り返す。
女性脳は、「データまでの楽しみな時間」と、「デートで楽しかった記憶」で長い間楽しめる。

 

NHK 俳句「蛙の目借時」メモ

「蛙の目借り時」「目借り時」
蛙が目を借りていってしまったから眠い、という意味で、眠い事、眠そうにしている様子を意味する。

茶の湯気は
丸い蛙の
目借り時

目借時
裾廻(すそみ)に田居の
家二千