書評:「会議力」奥出さん

さっき、奥出さんの「会議力」を読んだ。2年くらい前から読もうと思っていて、こないだようやくブックオフで見つけた本だ。この本では、会議を充実したコラボレーションにするために「電子メール」の活用の仕方について主に述べられている。


そのコツは、仕事の流れの報告として「ディリー」「ジャーナル」、会議の内容として「イニシャル」「アジェンダ」「レポート」である。

「ディリー」:その日の行動予定のリスト化
「ジャーナル」:その日の活動報告

「イニシャル」:会議の日時と場所、メンバー
アジェンダ」:議題リスト。議題、発表者、持ち時間
「レポート」:議事録。議論や決定事項を箇条書きで端的に要約したもの


以下、重要なところを引用。


「プロジェクト・マネージメントの基本は、プロジェクト全体を一つのフローとみて、最終目的に対して、どのようなフローを構成するかという戦略を立てるところにある。意思決定というのは、タスクの成果や状況の変化によって、そのフローを変えていくということだ。」p172

「『ディリー』と『ジャーナル』を見れば、メンバーが何をやっているかが分かる。問題があれば、『アザブ(ML名)』にあがってくる。『イニシャル』、『アジェンダ』、『レポート』という会議の流れによって、今、誰が何を行っているのかも把握できる。つまり、メーリング・リストを運用しているだけで、プロジェクトの全体像が見えてくる。したがって、これらの情報だけで意思決定していくことが可能になる。」p176

「今の日本の組織にずっと所属していると、基本的なプランニングができなくなっている。つまり、ニーズが転がっていても、そこに自分をフィットさせていく交渉力と実現していくためのコラボレーション力がないとダメなのだ。会社に依存しないでやっていこうとすると、そのような企画力と交渉力が基本になる。それは、言い方を換えれば、プロジェクトの立案と推進の能力だ。そのために必要なノウハウこそ、『会議力』なのである。」p196


これらの背景に、ダニエル・ピンクの「フリーエージェント社会の到来」がある。高い技術力を持っていても、それに対する社会のニーズがあっても、仕事を取ってくる「交渉力」や「段取り力」、「コラボレーション力」がないとダメなのだ。ぼくはこれに、「コンテクストを生む力」もあるかと思う。