小説「ミュージック・ブレス・ユー!!」
最近、卒論を書きながら、自分がやりたいことは何なのか、ずっと考えていた。大学院入試のこともあり、本当に苦しかった。
そんな時、ふとブランチで紹介されていたこの本を買って、読んでみた。
主人公、オケタニアザミの「仮進級」という立場や、「やりたいことがみつからない、見つけようという気も起きない」という姿に、共感していた。
この物語に感銘を受けた点は、主人公のアザミが「音楽」について完全に「突き抜けて」いること、あらゆることが「音楽」によって巻き込んでいかれたことである。
バンドを通じて知り合った隣町の高校生に恋心を持ったが、一方的に振られた点。
普段人としゃべるのは苦手だが、音楽のことになると一方的にべらべらしゃべってしまう自分を、これではまずいと考えている点。
音楽を通じて、そのマニアぶりに別の男から好かれた点。その男の人生に自分と同じような生き方であることを見出し、何となく悪くない気持ちになる点。
そして、親友チユキと別れた後、ヘッドフォンで音楽が聴けなくなっていたにもかかわらず、身体に染み付いた音楽が正確に時刻を刻んでいた点。音楽から世界を捉えている点。
この物語は、そこから先、アザミがどんな人生を過ごしたのか、描かれていない。たぶんそこが、これからのぼくらの課題なのだろう。
「音楽について考えることは、人生について考えることより大事だと思う」
自分の「好き」を突き抜けた先に、どうやって生きていくのか。
やはり、そんな自分を一歩引いてプロデュースしていく力が必要なのではないかな。