「色」について

その対談の中で、内藤さんが口にしていたこと。


人間の色彩認識は、「カラーホイール」になっている。そこでは、赤は紫の横にあり、赤と紫を混ぜると青く見えることがわかっている。しかし、人間の可視光線を赤外線と紫外線をも含めた「あの図」を描くと、赤と紫は可視光線上の端点であることに気がつく。つまり、線上に描くと、赤と紫は端の点なのに、それを円にすると、赤と紫を混ぜると青が生じる、ということになってしまっている。


この面白く、不思議で魅力的な事実が示唆するところは、2つあるように思う。

一つは、人間の思考は「閉じていることで認識できる」というもの。直線としてどこまでも開いてしまっては、人は認識することはできない。それは、あたかもオートポイエシスのように、「閉じているからこそ、開いた認識ができる」ということなのだとも思う。

もう一つは、地図の描き方によって、多様な認識ができるということ。人間の認識だけを考えたら「カラーホイール」だけで十分足りるが、人間の認識の外側の「紫外線」や「赤外線」の存在を示してやることで、「赤よりもっと赤」や「紫よりもっと紫」の存在があることを知ることができる。

ぼくも、こんな、人の想像力が広がるような「地図」をつくりたい。