SFCで学んだこと

本日、SFCの大学院である政策・メディア研究科を、無事修了できることが確定した。これを機に、大学・大学院と、SFCで過ごした6年間を振りかえって、ここでなにを学んだのか、まとめておきたい。

一言でまとめると、【アウトプットに対する姿勢】になるだろうか。正直、身に付けた学問的知識は、どれもまばらで中途半端だし、その知識自体が今後の仕事に役に立つということも、ほぼないように思う。それでも、それらの知識を学ぶ中で、また、SFCで研究を進める中で学んだことはとても多く、それは、アウトプットを生み出す際の暗黙知なのだと思う。

ここでは、今、6年間の大学・大学院生活を振り返って、アウトプットに対する姿勢について学び、大切だと思うことについて、「日々意識すること」「目下のアウトプットに対しての取り組み方」「自分のスタイル」の3つの点について、思いつく限り挙げていきたい。



■日々意識すること

・フロンティア感覚を持ち、フロンティアから自分を位置づけること。最先端(流行)を常に把握していることと、それに流されない「自分なりの問題意識と理想」を持っていること。

・会議の前には必ずネタを仕込んでおく。また、会議のネタになりそうなものを日々の中でストックしておくこと。

・集中する時間帯、気を緩める時間帯のメリハリをつけること。

・ある程度の時間的余裕をもったまとまりのあるインプットを、所々で集中的にやっておくこと。

・「言えるけどできない(実行不全)」「できるけど言えない(説明不全)」という二つのギャップに向き合い、頭と身体で考え、行動する(文俊先生)こと。

・自分の評価者の好みを把握しておくこと。評価者の書いた文章や、評価者の好む・お勧めする本の内容などから、それを知る。



■目下のアウトプットに対しての取り組み方

・「基本の型」「自分らしさ」でアウトプットを組み立て、「評価者の好み」に味付けをする(オチをつける)こと。

・とりあえず、「お手本」が大事。ロールモデルでも、アウトプットでも。お手本をまねて、自分の状況に横滑りさせること。

・それっぽいフレーズを並べて分かった気にならない。「具体的にどういうことか」「一言で言うと何か」を常に考え、つくりつづけること。

・問題意識を共有することが、プレゼンの大事なスタートであること。何がうまくいっていないのか。不思議たらしめているなぞは何か。その際、規格のあるところの差異にしか、問題は発生しない、ということをきちんと押さえておく。規格は、常識だったり理論だったり理想だったりする。そういう常識・理論・理想に「なっていない」というのが、問題発見なのだ。自分が「面白い」と思うことと、その場の聴衆が求めていることは、異なっていることもよくある。面白さは、後者にわかるような形で伝えないと、意味がない。

・目の前のアウトプットに全力を注ぐこと。逃げたくても、時間ぎりぎりまで、粘って悩み続けること。これをやらないことには、成長はない。

・中間報告では、アウトプットの構想+プロトタイピングを出し「何をやろうとしているのか」「どこまで進んでいて、後何をやれば終わりか」を示すこと。

・上の人に質問するときは、具体的な答えを求めるような質問の仕方をすること。


■自分のスタイルについて

・危機感よりも、わくわくする昂揚感でやる方が自分は伸びるタイプだ。前者の必死さではなく、後者による必死さで。

・「途中で辞めないで、末永くやれば何とかなるだろう」という根拠のない自信。

・苦手分野でも、必要があれば飛び込んで、溺れながら何とか学ぶ姿勢と覚悟。



学問の知識は仕事に活かせなくても、学問をする過程の中で身に付けたこのような「ちから」は、きっと活かせるものだとおもう。SFCで学問を学び、そして、学問をつくっていくなかで、そういう「ちから」を学べたような気がする。