顧客の要求と評価者の評価

本には読者が、システムにはユーザがいるように、仕事には顧客がいる。例外はない。顧客意識はもちろん大切だが、自分のような若手社員にとって同じぐらい重要なのが、評価者への意識である。

先日、これまでの担当とは別のシステムをテストした際、エビデンス資料の作成に時間をかけるなと注意された。自分では、今まで通り、「丁寧な資料づくり」を心がけたため、少し驚いた。以前のリーダーからは「丁寧な資料」が求められた一方で、今回のリーダーには「スピード」が求められたのだ。もちろん、大前提として、テスト仕様書の要求を満たすのは必須である。そのうえで、「素早く作成すべき」か「丁寧に作成すべき」かは、評価者次第なのである。

顧客の要求を満たすこと。まずこれが大前提。その上で、自分の評価者が、部下である自分に何を求めているのか。その評価者が、「良い成果だ」と感じる基準がどこにあるのか。これらを把握することが、会社という組織でうまく生きていくには不可欠なのだ。(もちろん、悪い意味ではない)


本当は、顧客の要求と上司の評価を満たしつつ、「想い」が「オリジナリティ」として昇華されているとよりよいが、それはまた別の機会に書く。

最後に駄文だが、ここまで書いて、研究論文も同じだなぁと思った。論文として最低限要求(=問い・結論・根拠が明記されていること)を満たしていること。そのうえで、評価者(主査や学会の査読者)の好みに即していることが成功の秘訣だ。研究論文も、研究者の想い(オリジナリティ)があってこそ、なのだが、それも別の機会で。