NHK 俳句「春の海」メモ

・夏井いつき
音ことごとく
ひかりと化せり
春の海

波打つ音と春の暖かい光が相まっている様子が目に浮かぶ。最初の2行では音と光の様子だけだが、3行目で初めて、それが春の海だった、という驚きがある。「おとことごとく」「ひかりとかせり」という響きも楽しい。


春の海
膨れ淡路へ
歩けさう
「海が膨れる」という表現に、穏やかで、きらきらぽかぽかした、柔らかい景色が目に浮かぶ。そんな膨らんだ海を見て、「歩けさう」と、うきうきわくわくした春の情景が楽しい。


転勤の
話なくなり
春の海
この句の面白いところは、春の海が、「嬉しい」という気持ちと、「残念だ」という気持ち、どちらにもとれる、という懐深さだ。