書評「ウェブ社会をどう生きるか」

今日、ゼミの後輩の影響で、西垣通さんの「ウェブ社会をどう生きるか」を読んだ。


ルーマンが社会領域で独自のオートポイエシス論を展開したように、西垣さんも情報領域で独自のオートポイエシス論を展開している。

西垣さんの面白さは、情報を「機械情報」から「社会情報」、「社会情報」から「生命情報」へと、オートポイエシス論としてもう一段抽象化して捉えようとしているところだ。
これは新書なのでわかりやすく書いているが、厳密な論は『基礎情報社会学』や『情報社会学的転回』にあるのだろう。

その2冊をまだ読んでいないので詳しくはわからないが、西垣さんの言う「階層的オートポイエシス論」はルーマンの文脈で語れてしまいそうだ。

この本では、オートポイエティック・システムをメタに観察すると、
「上位のオートポイエティック・システムを観察しているとき、下位のオートポイエティック・システムはあたかもアロポイエティック・システム(機械)のように作動する。一方、下位のオートポイエティック・システムを観察しているとき、上位のオートポイエティック・システムからの影響を認知できない」
と述べてられている。
しかしこれは、心的システムと社会システムがお互い片方の「環境」になっており、「コミュニケーションにおける三極の選択」を「機械のように」として言葉を言い換えているに過ぎないのではないだろうか。


一度、『基礎情報社会学』を読んでみる必要がありそうだ。

西垣さん自身を研究対象としている後輩とも、議論したい。